日常でうっかり飲み物をこぼすということは、よくあることかと思います。特に、紅茶などのお茶類やコーヒーなどをこぼした色素をそのままにして、シミになってしまうのは残念な気がします。
適切な方法で早めに対処することで、シミを防ぐことができますので、その方法をご紹介いたします。参考になさってみてくださいね。
お茶類やコーヒーのシミの原因は?
紅茶や緑茶、ウーロン茶、コーヒー、ルイボスティーなどを服にこぼしてしまって、シミの主な原因とされるのは タンニン です。
タンニンは渋みのもとであり、革のなめしや草木染めの際に使われるほど、布に定着しやすい色素なのです。そのため、こぼしたまま放置すると、繊維に染み込んで落ちにくくなります。
タンニンの特性上、シミは時間が経ち乾燥してしまうほど落ちにくくなるため、早めの対応が大切です。
シミ抜きの前にまず確認すること
シミ抜きを行う前に、まずは衣類や布製品の洗濯表示を確認しましょう。
以下の点をチェックしてください。
- 家庭で水洗いできるか
- 洗濯機で洗えるか
- 漂白剤が使用可能か
洗濯表示の確認ポイント
衣類などの洗濯表示を確認することで、適切なシミ抜き方法を選ぶことができます。
水洗い可能か 「桶のマーク」があるものは洗濯機で水洗いOK 「桶のマークに手」が入っているものは手洗い 「桶にバツ印」のものは水洗い不可で、クリーニングが必要
お湯の使用は可能か 「桶の中の数字表記」が示すその温度のお湯は使用可能
漂白剤の使用および種類の確認 「三角マーク」がある場合は漂白剤使用OK 「三角にバツ」の場合は漂白剤使用不可 「三角の中に斜め線」の場合は酸素系漂白剤のみ使用可
これらを事前に確認し、衣類を傷めないよう適切な方法でシミ抜きを行いましょう。
水洗い不可の衣類やデリケートな素材(ウールやシルクなど)は、家庭でのシミ抜きではなく、クリーニングに出すことをおすすめします。特にウールやシルクは熱や摩擦、漂白剤に弱いため、無理にシミ抜きをすると生地を傷める原因になります。
また、色落ちのリスクを避けるため、目立たない部分で軽く濡らして叩いてみて、色移りしないか確認しておきましょう。
基本的なシミ抜き方法
洗濯機使用OKの衣類や布製品の場合、シミ抜きは 洗濯前 に行うことが重要です。洗濯機で洗った後ではシミが落ちにくくなってしまうため、事前に対処しましょう。
また、朝など外出前で時間がない時は、ひとまず水を張ったバケツや洗面器に入れておきましょう。乾燥による繊維への色素の定着(シミ)を防ぐことができます。
シミ抜きは、洗浄力の弱いものから試していくことで、生地を傷めにくくなります。
- 水洗い
- 洗剤を使う
- 酸素系漂白剤を使う
- 塩素系漂白剤を使う(白い布限定)
順番に詳しくお伝えしていきます。
水洗いでのシミ抜き方法
こぼした直後であれば、水洗いだけでシミを落とせる場合もあります。
手順:
- 乾いたタオルやティッシュで、シミが広がらないよう 押さえるようにして 水分を吸い取る
- 裏側に乾いたタオルを当て、表側から水で濡らし固く絞ったタオルでシミ部分を 叩いてシミを裏のタオルに移すようにする
- シミを落とした後は、手洗いもしくは通常の洗濯を行う
- 擦らずに押さえたり叩いて、シミの範囲を広げない、繊維に染み込ませないこと
- タオルなどを表裏で2枚使用してなるべく早く色素つきの水分を取り除くこと
外出先でこぼした場合も、ハンカチなどでこちらの応急処置をしておくと、シミになりにくいようです。
洗剤を使ったシミ抜き方法
水だけで落ちない場合は、洗剤を使いますが、洗浄力が強くなるにつれて生地を傷めることがあるため、以下の注意点をご覧いただき、まずは中性洗剤から試してみることをおすすめします。
- 中性洗剤(台所用洗剤を含む) を使うと、生地を傷めずにシミを落とせる
- 綿やポリエステルなら 弱酸性洗剤 も使用可能
- 弱アルカリ洗剤は避けた方が無難(タンニンがアルカリと反応しシミが濃くなる性質のため)
手順:
- シミ部分を水で濡らす
- 洗剤を綿棒や歯ブラシに付けてシミ部分に塗る
- 軽く叩いたり、つまんで揉み洗いする
- 水ですすいで洗剤を落とした後、まだシミが残っている場合は、2.に戻って再び洗う
- 水ですすいで洗剤を落とした後、シミが消えてから手洗いもしくは通常の洗濯を行う
- 漂白剤や蛍光増白剤(蛍光剤)入りの洗剤は、付けた部分だけが変色する場合もあるため、それらが入っていない洗剤か、台所用洗剤を使用する
- 洗剤の場合も、擦らずに叩いて、シミの範囲を広げない、繊維に染み込ませないこと
酸素系漂白剤を使ったシミ抜き方法
洗剤でも落ちない場合は、酸素系漂白剤を試します。(※ただし、生地を傷める場合もあるため、無理せずクリーニングにお願いしたほうがよいこともあります。)
まず酸素系漂白剤には弱酸性の液体タイプと弱アルカリ性の粉末タイプがあり、弱酸性の液体タイプの方が、生地を傷めにくい傾向にあります。
その弱酸性タイプも、シルクやウールなどデリケート素材には使用できないことが、商品裏面に記載されています。
漂白剤とは汚れを落とすのではなく、色素を分解して色を落とすものですので、他にも使用できないものがありますので、ご確認ください。
手順:
- シミ部分を水で濡らす。
- 裏側にタオルを当て、漂白剤を綿棒や歯ブラシに付けてシミ部分に染み込ませる
- お湯で、商品の説明書き通りの分量に漂白剤を薄めて、つけ置きする もしくは、生地から少し離してドライヤーで 5~10秒温める
- ぬるま湯ですすいだ後、手洗いか通常の洗濯を行う
- 熱を加えると漂白力が高まる
- 金属のボタンやファスナーが変色することがあるので、漂白剤が付かないようビニールやテープなどで保護しておく
- 色柄物の場合、素材などによっては色が滲むこともあるため、事前に目立たない箇所へ塗布して5分ほど置き色落ちをチェック
塩素系漂白剤を使う(白い布限定)
漂白力が強いため、白い布専用の方法です。色柄物、ナイロン・ポリウレタン・ウール・シルク類は使用できない上、金属部分のついた衣類は変色の恐れがあるため、用途は限られます。
例えば白いタオルやふきん、布帛の白いバッグなどでしょうか。
手順は酸素系漂白剤を使用した場合と同様です。
まとめ
紅茶をはじめお茶類やコーヒーなどのシミは タンニンが原因 であるため、時間が経ち乾燥すると定着しやすくなります。シミを残さない基本は 早めの対応 で、水洗いから順番に試すのがポイントです。
- まずは自宅洗い・漂白剤やお湯の使用が可能か、洗濯表示を確認
- デリケート素材は無理せずクリーニングに依頼する
- こぼした直後は水洗いでOKなことが多い
- すぐ処置できない場合は、洗面器などで水に浸しておく
- 洗剤を使う場合は台所用洗剤などの中性洗剤から
- 酸素系漂白剤はパッケージ裏面の使用できる素材を確認してから
- 塩素系漂白剤は白い布のみ使用可能
衣類や布にシミを残すことなくお気に入りの飲み物を楽しみましょう。