チョコレート菓子の仕上げに用いられるコーティング用チョコ、お店のようなパリパリとした食感と、つやつやの美しい見た目に憧れること、ありますよね。
実は、特別な製菓材料がなくても、家にある材料でその仕上がりを再現することが可能です。
こちらの記事では、コーティング用チョコの基本から、代用品を使ったパリパリ&ツヤ仕上げの再現方法、うまくいくコツや保存法までご紹介いたします。
チョコレートをもっと手軽に楽しみたい方は、ご覧くださいね。
コーティング用チョコとは?その魅力と用途
コーティング用チョコの基本知識
コーティング用チョコとは、チョコレートを溶かしてスイーツの表面に薄くかけたり、ディップしたりするためのチョコレートです。
製菓用のチョコレートには「テンパリング(温度調整)」が必要なものと不要なものがありますが、コーティング用として販売されているものは、一般的にテンパリング不要で手軽に扱えるようになっています。
コーティングが生み出すパリパリ感とつやつや感
チョコレートのコーティングは、冷やして固めると独特のパリッとした食感になります。
これがスイーツの食感のアクセントになるだけでなく、見た目にも美しくつややかに仕上がるのが魅力です。
特に温度管理と油脂のバランスが重要で、成功すればお店のようなプロ仕様の仕上がりになります。
日常での使い道
ご家庭でもチョココーティングは幅広く使われています。
例えば、クッキーやバナナ、いちご、ドーナツなどのスイーツにコーティングを施すことで、一段と豪華な見た目と味わいを楽しめます。
バレンタインやイベント時のお菓子作りにもぴったりです。
注意が必要な性質と特徴
コーティング用チョコは温度に敏感で、適切な温度管理ができていないと、白くくすんでしまったり、固まりにくくなったりします。
また、湿気の多い場所ではチョコの表面が曇ることもあり、繊細な面を持っています。
パリパリ感やツヤを保つためには、作業環境や保存環境にも注意が必要です。
コーティング用チョコの購入先と選び方
コーティング用チョコは、どこで購入できるのか、また何という名称のものを選べばよいのかについて、ご案内いたします。
「コーティング用チョコ」以外に、「テンパリング不要」「コンパウンドチョコ」「チョコレートコーティングに最適」などと書かれている商品が該当します。
- はじめての場合:100均やスーパーで少量から試すのがおすすめですが、冬季以外は取り扱いがない場合もあります。
- 本格派や大量に使う場合:通販や製菓専門店で掲載情報を確認しながら購入可能で、業務用パックという選択肢も可能です。
購入できる場所
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- 製菓材料専門店:品質重視、本格的な仕上がりを目指す方向け
- スーパー:気軽に購入可能、季節限定の取り扱いも
- 100円ショップ:お試しにぴったり、少量で安価、季節限定や店舗により取り扱いなしも
- 通販:種類豊富。レビューやランキングも参考にできる
選び方のポイント
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- テンパリング不要の「コンパウンドチョコ」が初心者におすすめ
- ツヤやパリパリ感を重視するなら「コーティング用」と明記された製品を
- 板チョコやクーベルチュールで代用も可能、次の章で留意点と共にお伝え
代用品を使ったコーティング用チョコの作り方
市販のコーティング用チョコが手に入らないときでも、家庭にある材料を使って簡単に代用できます。
以下に、サラダ油や板チョコ、ホワイトチョコの活用法および電子レンジを使った時短テクニックをご案内していきます。
サラダ油類を使った最も簡単チョココーティング法
ご家庭に常備されていることの多いサラダ油類を板チョコに加えることで、滑らかさとツヤを出しやすくなります。
植物油としてサラダ油のほか、ココナッツオイル・太白ごま油・グレープシードオイルなどもチョコの風味を邪魔することなく
基本的な作り方は、電子レンジや湯せんで溶かした刻みチョコの重量に対して、約10%のサラダ油類(チョコ50gに対して小さじ1弱程度)を加えてよく混ぜ、後は冷ますだけで最も簡単な方法です。
1.板チョコなどを細かく刻み、湯せんまたは電子レンジで溶かします。
- 湯せんの場合は50〜60℃程度のお湯を使い、チョコが焦げないようゆっくり溶かす
- 電子レンジを使う場合は500〜600Wで20秒ずつ加熱し、様子を見ながら都度混ぜるのがポイント
2.溶かしたチョコに約10%程度の植物油(サラダ油や太白ごま油など)を加えます。 これにより、チョコの流動性が高まり、均一にコーティングできるため、表面のつややかさがアップし、パリッと仕上がりツヤも出ます。
3.混ぜた後はスプーンやヘラでクッキーやフルーツなどの食材に塗り、常温で固めたあと冷蔵庫でしっかり冷やして完成です。
この時のポイントは、加える油の量を控えめにすることです。多すぎるとチョコが固まりにくくなったり、表面がべたついたりする原因になります。
また、チョコを湯せんで溶かす際には水が入らないように注意してください。水が混ざると一気にチョコが固まって使えなくなってしまいます。
仕上がりをよりパリッとさせたい場合は、乾燥に注意しながら、冷蔵庫で冷やす時間を長めに取りましょう。冷却後はツヤとパリパリ感のバランスがよく、お店のような仕上がりが楽しめます。
電子レンジで簡単!温度調整のコツ
電子レンジを使う場合は、600Wで20~30秒ずつ加熱し、その都度よく混ぜるのがコツです。
短時間でチョコを溶かせるためとても便利ですが、一気に加熱すると焦げる恐れがあるため、こまめな温度確認が重要です。
チョコは高温に弱く、焦げたり分離したりすると元に戻せないため、「一度に溶かそうとしない」ことがポイントです。
チョコが8割ほど溶けたら、取り出してゴムベラでゆっくりかき混ぜ、余熱で完全に溶かすようにします。
チョコの中心温度が35℃〜40℃程度を超えないように管理すると、ツヤが出て美しい仕上がりになります。
温度計があればベストですが、指で触って「ぬるいかな」と感じる程度が目安です。溶かしたチョコに油を加える際も、温度が高すぎると分離の原因になるため、必ずチョコを軽く冷ましてから加えるようにしてください。
また、溶けすぎた場合は少し冷ましてから使うと、ちょうどよい粘度でコーティングできます。
板チョコ・製菓用でテンパリングしたコーティングチョコの作り方
板チョコはスーパーなどで手軽に手に入るため、代用材料として非常に優秀で、ミルクチョコやビターチョコなど、好みの種類でアレンジも自在です。
また、製菓用チョコ(クーベルチュールなど)や、できるだけカカオ含有量が高く、添加物が少ないシンプルなものを選ぶと、よりキレイなコーティングに仕上がります。
なお、板チョコにはテンパリング処理が施されていない場合がほとんどのため、完璧なパリパリ感を求める場合は、温度調整に注意してテンパリングに近い操作をするとより良い仕上がりになります。
テンパリング(温度調整)の手順
- 刻んだチョコレートをボウルに入れ、湯煎で40~50℃程度まで温めて溶かす
- 氷水を張ったボウルに当てて27〜28℃まで一気に冷やす
- 再び湯煎で31〜32℃まで温め直して仕上げる
ホワイトチョコを活用したつやつやコーティング法
ホワイトチョコは、甘さも上品で見た目にも華やかなコーティングに仕上がるため、特に焼き菓子やバレンタイン向けスイーツにおすすめです。
一方で、ホワイトチョコは焦げやすく、分離もしやすいため低温で丁寧に溶かすのがポイントになります。
ホワイトチョコはできるだけ細かく刻み、低温(40〜45℃)の湯せんでゆっくりと溶かします。
電子レンジを使う場合も、低出力(500W程度)で10〜15秒ずつ加熱し、溶けきる前に取り出して残りは余熱で溶かすと失敗しにくくなります。
ツヤを出すためには、チョコ100gにココナッツオイルや太白ごま油を小さじ1~2程度加えると良いでしょう。サラダ油より口どけがよく、風味を邪魔しないため仕上がりが上品になります。
また、生クリーム大さじ2~3程度を加えることで油分を補いミルクの風味も増します。
白いチョコはフルーツやカラフルなトッピングとの相性が良く、見た目にも楽しいアレンジが可能です。コーティング後は冷蔵庫で冷やし、完全に固まるまで触れないように注意しましょう。
コーティング用チョコ代用品活用のコツ
理想のパリパリ仕上げのための温度管理
代用品でチョコをコーティングする際、パリッとした仕上がりにするためには温度管理が欠かせません。デジタル温度計があると便利ですが、ない場合はチョコのとろみや流れ具合を目安にするとよいでしょう。
- チョコを湯せんや電子レンジで溶かすときの目安は約45℃前後です。 高温になりすぎると焦げたり分離したりする原因になりますので注意しましょう。
- 溶かしたチョコは、30〜32℃程度に保つことが重要で、高温すぎるとツヤが出にくく、低すぎると塗りにくくなります。
- 溶かしたチョコをコーティングする際は、食材や器具の温度にも気を配ります。 食材が冷えすぎているとチョコが急激に固まり、表面が白くなったり(ブルーム現象)、割れやすくなったりします。 逆に室温が高すぎるとチョコがうまく固まらず、パリパリ感が出ません。 室温20℃前後、湿度50%以下の環境が理想的といえます。
- コーティング後は急速に冷やすのではなく、まずは常温で軽く固めてから冷蔵庫に入れるのがポイントです。 ゆっくり固まることで、表面に美しいツヤと均一な厚みが出やすくなります。
固まらない失敗を防ぐためのポイント
チョコレートが固まらない原因はいくつか考えられます。よくある例とその対策をご紹介します。
- 水分の混入:チョコは非常にデリケートで、水分が少しでも入ると分離や固まらない原因になります。湯せん時にはボウルに水が入らないようにし、調理器具はしっかりと乾かしてから使用しましょう。
- 加熱しすぎ:高温で加熱するとチョコレートが焼けたり、カカオバターが分離してしまうことがあります。電子レンジで加熱する場合は10~15秒ずつ様子を見ながら、都度かき混ぜて均等に熱を通すのがコツです。
- 添加物の量が多すぎる:サラダ油や生クリームなどの液体を混ぜすぎると、チョコが固まらなくなることがあります。艶を出すために加える場合でも、分量はチョコ100gに対して小さじ1~2程度にとどめましょう。
- 冷やしすぎ・急冷:急に冷やしすぎると、表面に結露ができて固まりにくくなる場合があります。常温で落ち着かせてから冷蔵庫に入れることで、ムラのないコーティングに仕上がります。
お菓子用コーティングのトッピングアイデア
コーティングしたチョコにひと工夫加えることで、見た目にも華やかでイベントにも活用できる、食感豊かなお菓子に仕上がります。
以下は人気のトッピングアイデアです。
- ナッツ類(アーモンド・くるみ・ピスタチオなど):砕いてトッピングすることで、カリッとした食感と香ばしさが加わります。
- ドライフルーツ(レーズン・クランベリー・いちご):甘酸っぱさがチョコの甘さを引き立て、彩りも華やかです。
- カラースプレー・アラザン:手軽にポップで可愛らしい見た目に仕上がり、子どものおやつやプレゼントにも最適です。
- ココナッツファインや粉糖:白いトッピングはコントラストが際立ち、クリスマスなどのイベントにも映えます。
- 抹茶・シナモンパウダー:大人向けの風味を演出したいときにおすすめです。
トッピングはチョコが固まる前に素早く行うのがポイントです。しっかりと接着され、見た目も整いやすくなります。
コーティング用チョコの保存方法と注意点
チョココーティング後の保存方法
完成したチョココーティングのお菓子は、直射日光を避け、湿度の低い場所に置くのが基本です。
コーティングした食材にもよりますが、常温で1〜2日ほどは保存可能、密閉容器に乾燥剤を入れ、冷暗所に置くようにしましょう。
特に湿度の高い梅雨時期や暑い季節は、乾燥やニオイ移りを防ぎつつ冷蔵庫保存が無難です。
とはいえ、冷蔵保存の場合には、温度差によってチョコ表面に白い模様(ファットブルーム)が出ることがあります。これは油脂分が浮き出たもので、品質に大きな影響はありませんが見た目に影響するため、気になる場合は当日作って常温に置く時間を短くするなどの工夫が必要です。
また、コーティング後のお菓子を重ねて保存すると、表面のチョコが剥がれたり、トッピングが崩れたりする原因になります。一つ一つラップで包んだり、間にクッキングシートを挟むなど配慮するとよいでしょう。
長持ちさせるための冷蔵庫の活用法
冷蔵庫で保存する場合は、温度・湿度の変化が少ないチルド室や野菜室がおすすめで、チョコが白くなる“ブルーム現象”を防ぎやすくなります。
ラップやジッパーバッグよりも密閉性の高い保存容器を選び、乾燥剤や除湿剤を一緒に入れて湿気対策を行うのが理想的です。
取り出す際には、すぐに容器を開封せず、室温に20〜30分ほど置いてから開けることで、結露によるベタつきや変色を防ぐことができます。特に見た目を重視するお菓子の場合は、この一手間が美しさを保つポイントです。
冷凍保存も可能ですが、チョコレートは冷凍すると風味や食感が変化する場合があります。
なるべく短期間で食べきるか、風味が変わっても問題のない用途(チョコバナナやコーティングドーナツなど)に限って活用するとよいでしょう。
チョココーティングにまつわるQ&A
パリパリ&ツヤありコーティングチョコ成功の秘訣は?
ご自身の環境に合った温度・油分・水分管理がうまくいく鍵になりますので、まずは少量で試作し、各分量・溶かし方・冷やし方を確認してみることがおすすめです。
成功の秘訣として、以下のポイントを押さえて試作してみましょう。
- チョコを細かく刻む:加熱ムラを防ぎ、均一に溶けやすくなります。
- 低温でじっくり溶かす:50℃以上になるとチョコが焦げたり風味が飛んだりするため、湯せんや電子レンジの弱モードで少しずつ溶かすのが理想です。
- 水分を避ける:湯せんの際に水がチョコに入ると分離してしまうため、水滴が入らないよう注意が必要です。
- 加える油脂は控えめに:サラダ油やココナッツオイルを使う場合はチョコ100gに対して小さじ1~2程度にとどめると、パリッとした食感を保てます。
- コーティング食材の乾燥:果物や焼き菓子の水分がチョコに移ると、固まりが悪くなったり、表面に白い斑点(ブルーム現象)が出たりすることもあります。使用する素材はできるだけ乾燥させてからチョコをかけることで、ツヤとパリパリ食感が生まれます。
- 冷やしすぎに注意:急激に冷やすとひび割れたり、チョコのツヤが失われる原因になります。コーティング後は、冷蔵庫に入れる前に、常温でクッキングシートなどに並べて、ムラなく冷ましましょう。冷蔵庫に入れた後も5〜10分ほどを目安にしましょう。
これらを守ることで、ご家庭でも美しいツヤとパリパリのコーティングが成功しやすくなります。
チョコバナナやクッキーへの応用方法
コーティングチョコは、バナナやクッキー、マシュマロなどさまざまなお菓子に活用できます。チョコがしっかりと固まるまで動かさず、冷却することで、美しい仕上がりになります。
以下に、人気の応用例とコツを挙げていきます。
- チョコバナナ:バナナの水分により、チョコがはがれやすいため、あらかじめ表面をキッチンペーパーで水分を軽く拭き取ってから、チョコをかけましょう。 トッピングにはカラースプレーやナッツを散らすと華やかさが増します。
- クッキー:焼き上がって十分冷めたクッキーにチョコをかけると、表面にきれいにのりやすくなります。半分だけディップする、模様を描くなどのデザインも楽しめます。
- アイスバーやマシュマロ:冷凍状態のものにチョコをかけると一瞬で固まり、パリパリ食感が楽しめます。アイスとの相性は抜群で、夏場のおやつにも最適です。
応用する際は、コーティングの厚さや乾燥時間を工夫することで、仕上がりに差が出ます。
お子さんと一緒に、食材によって薄めで均一に、もしくは厚めにじっくり時間をかけて固めて、など色々試してみても楽しい時間になりますよ。
お好みの材料で、見た目も味も楽しいスイーツにアレンジしてみてください。
まとめ
コーティング用チョコの代用は、工夫次第でパリパリ感やツヤ感を再現できます。
特別な材料がなくても、板チョコやサラダ油をはじめとした植物油など、身近な材料で十分に楽しめるのが魅力です。
水分・油分・温度管理や冷却方法など今回ご紹介したポイントをチェックしながら、まずは少量の試作から始めてみてはいかがでしょうか。
また、折を見て100円ショップやスーパーなどでコーティング用チョコを入手できた場合も含め、自分好みのコーティングレシピや仕上がりを見つけていけば、お菓子作りがもっと楽しく、自由に広がり活用する場面も増えていくことでしょう。