紅茶をおいしくいれるには、水や茶葉の質と正確な計量、蒸らし時間などポイントがいくつかあります。
なかでも「ジャンピング」と呼ばれる現象をうまく利用すると、紅茶の味わいや香りが一段と引き立ちます。
今回は、ジャンピングを発生させる方法を中心に、紅茶をいれる際の他ポイントとともにまとめてみました。
ジャンピングが大切な理由
「ジャンピング」とは、熱湯を注いだ際に茶葉が上下に動く現象を指します。
具体的には、
茶葉がお湯を吸って沈む → お湯の中の空気が茶葉に付着して浮き上がる → 付着した空気がなくなり、再び茶葉が沈む |
このサイクルを繰り返すことで、茶葉が上下に動きながらお湯と均等に触れ、味わいや香りの成分が均一に効率よく抽出されて、おいしい紅茶になります。
ジャンピングが起きない場合には、香味が不十分だったり、抽出が偏ってしまうことがあるとされるため、欠かせないプロセスだといわれています。
ジャンピングを発生させるには
ジャンピングを起こすには、以下の条件を整えるのがポイントになります。
- 水の空気量
- 茶葉の鮮度と種類
- ポットの形状と大きさ
水の空気量
水に含まれる空気の量がジャンピングに大きく関係しています。空気が十分に含まれていないと茶葉が動きにくくなります。以下のように空気を含ませた水やお湯を用いましょう。
1、汲みたての新鮮な水を使う
汲み置きやボトルの水ではなく、汲みたての新鮮な水には、空気がたっぷり含まれています。また、日本の水道水はほとんどが軟水で、茶葉から香りや味を抽出しやすい特性があります。
※「硬水」は、カルシウムやマグネシウムのイオンが多い水を指し、これらが茶葉の成分「タンニン」と結合してしまうため抽出が妨げられるため、硬水用の紅茶以外は、軟水が適しているとされています。
2,沸騰直後のお湯を勢いよく注ぐ
しっかり沸騰させた直後のお湯は、空気が適量に調整され対流が起こりやすくなり、ジャンピングに適しています。
長時間ポットで保温されたお湯は空気が抜けているため、ジャンピングには適さないといえます。また、沸騰不足や沸騰したまま火にかけすぎる場合も、空気の量が不十分となります。
やかんに水を入れるときや、沸騰したてのお湯をティーポットに注ぐときは、できるだけ水量を多くし、勢いよく注ぐことがポイントです。
茶葉の鮮度と種類
鮮度:茶葉は開封後、光や湿気によって鮮度が落ちてしまうため、遮光・乾燥した状態で密封して保管することが大切になります。鮮度が下がるとジャンピングしづらくなりますので、少量ずつ茶葉を用意するとよいかもしれません。
種類:細かい茶葉などは、抽出されやすい加工ですがジャンピングはしづらい傾向にあります。
ポットの形状と大きさ
ポットの形状:丸みのあるポットはお湯の対流を促し、ジャンピングを発生しやすくなります。四角いポットやビーカー、筒型のポットは丸型に比べて対流しにくいため、ややジャンピングしづらい傾向にあります。
ポットの大きさ:お湯の量はポットの8~9割程度いれると対流しやすくなりますが、ポット自体が小さすぎると対流が弱く、ジャンピングしづらくなります。(一人分をカップでいれる時は別として)ある程度の大きさ(300ml以上など)があった方が、おいしくいれることが出来るといわれています。
※素材はあまり気にする必要はありませんが、ガラスのポットは、濃さの調節や茶量を把握しやすく、匂い移りもしづらいため、香りや水色(中のフルーツや花茶)などを楽しめます。
ジャンピング以外の主なポイントは
ジャンピング以外にも紅茶をいれる際のポイントがあります。おさらいをかねてまとめてみました。※ジャンピングに関するポイントは省略しています。茶葉とティーバッグに共通する内容です。
- 茶葉とお湯の分量を守る
- あらかじめポットとカップを保温しておく
- 蒸らし時間を守る
- 蒸らす間、ポットを保温し抽出を助ける
- 茶葉やティーバッグを絞らず滴下にまかせる
- すぐ飲み切らない時は茶葉を除いて別容器に移す
茶葉とお湯の分量を守る
事前に茶葉のパッケージ裏側に記載してある内容を読み、はじめは推奨量に従っていれてみましょう。
ティーバッグタイプの紅茶は、1杯分の紅茶を淹れるためにあらかじめ計量されていますが、茶葉の場合は自分で計量する必要があります。
一般的に、ティーカップ1杯分(水量150~200ml)の紅茶を淹れるのに必要な茶葉の量は「2.5〜3g」とされ、ティースプーン1杯分に相当します(※茶葉の種類や大きさ、ブランドによって異なる場合があります)。
小さじはティースプーンよりも少し小さいため、以下を参考にお好みで量を調整なさってみてください。
- 細かい茶葉(BPOやFなど): 小さじすり切り1杯~小盛りで約2g
- 大きな茶葉(OPやPなど): 小さじすり切り2杯で約2~3g
茶葉を正確に量りたい場合には、お皿などを乗せてからデジタルキッチンスケールを使うのがおすすめです。
また、ティーポットに目盛りがない場合は、目安となる水量を事前に計量カップやティーカップなどでチェックしておくとよいでしょう。
あらかじめポットとカップを保温しておく
ティーポットやカップが冷たいままだと、せっかく熱湯で紅茶を用意しても、一気に温度が下がってしまいます。ポットやカップを事前に熱湯で温めておくことで、いれたての風味を損なうことなく味わえます。
蒸らし時間を守る
茶葉のパッケージ裏側で推奨された蒸らし時間を守りタイマーで測ること、しっかりフタをして熱を逃がさないことで、味や香りが存分に抽出されて紅茶がおいしくなります。
蒸らす間、ポットを保温し抽出を助ける
茶葉を蒸らす間、ティーコジー(ポットカバー)もしくは厚手の布やタオルなどで、ポットを包んだり下にマットを敷いてポットの温度を保つことで、抽出を助けることができます。
茶葉やティーバッグを絞らず滴下にまかせる
うまみの凝縮された「ゴールデンドロップ」の茶液を出しきるには、茶こしの茶葉やティーバッグを少し揺すった後は、絞らず自然の滴下にまかせやさしく取り除きましょう。
無理に絞ることにより、渋みや雑味の元になってしまうのを、防ぐことができます。
すぐ飲み切らない時は茶葉を除いて別容器に移す
ポットに茶葉が入ったままにしておくと、抽出が進みすぎて渋みや雑味が生じてしまうようになります。すぐに紅茶を飲み切らない時は、茶こしで濾し、茶葉を取り除いて別容器に移しておくことで、いれたてのおいしさがある程度保たれます。
まとめ
「ジャンピング」とは、熱湯を注いだ際に茶葉が上下に動く現象で、これをうまく利用することで味わいや香りの成分が均一に効率よく抽出され、紅茶をおいしくいれる大事なプロセスです。
ジャンピングの発生に必要なことは
- 水の空気量(汲みたての新鮮な軟水、沸騰したてのお湯)
- 茶葉の鮮度と種類(遮光密封保存)
- ポットの形状と大きさ(丸型、ある程度のサイズ感)
その他の主なポイントは
- 茶葉とお湯の分量を守る
- あらかじめポットとカップを保温しておく
- 蒸らし時間を守る
- 蒸らす間、ポットを保温し抽出を助ける
- 茶葉やティーバッグを絞らず滴下にまかせる
- すぐ飲み切らない時は茶葉を除いて別容器に移す
理由とポイントを知って、調整しながら紅茶をいれて、お気に入りの「色・味と香り」を探す過程も楽しい時間になりますように。