グラタンを作ろうとすると「パン粉を入れるタイミングはいつ?」「そもそもなくても大丈夫?」と疑問に思ったことはありませんか?
パン粉やチーズの順番は、味や食感に違いを生むポイントになります。「どちらが正解」というよりは、お好みに合わせて楽しめるのが家庭料理としてのグラタンの魅力ではないでしょうか。
順番によるそれぞれの特徴、パン粉なしチーズなしでもおいしく作る方法や、おすすめの具材やトッピングなどもご紹介いたします。
「グラタン」はどういう料理?
グラタンは「焼き目をつけること」
「グラタン(gratin)」は、フランス語の「gratter(グラッテ:こすり取る、削る)」が語源とされ、オーブンやグリルで仕上げとして「表面に焼き目をつける調理法」による料理全般を指します。
このようにグラタンの定義は広く、具材やソースはさまざまで自由なのですね。
日本で定番化したグラタン
日本でおなじみの「ホワイトソースベースのグラタン」は、明治〜大正時代に洋食文化とともに伝わり、昭和になると家庭料理として定着しました。
ホワイトソースとマカロニスタイルは、日本独自に発展した形ともいえます。
グラタンの基本的な材料
日本で定番のグラタンとして、ホワイトソース(ベシャメルソース)をベースに、具材とチーズを加えてオーブンで焼いた料理の一般的な材料は、
- ホワイトソース(バター・小麦粉・牛乳)
- マカロニやじゃがいもなどの炭水化物
- 鶏肉やエビ、ハムなどのたんぱく質
- 玉ねぎ、ほうれん草、きのこ類などの野菜
- チーズ、パン粉などのトッピング となります。
パン粉とチーズの役割と適量は?
- パン粉は、焼き上がりにサクサクとした食感を加える役割を果たします。
- チーズはグラタンのコクや香ばしさを引き出す重要な存在です。ピザ用チーズ(とろけるタイプ)や粉チーズがよく使われます。
それぞれお好みの量を用いますが、目安として一人分の耐熱皿1枚あたり、チーズは30〜50g程度、パン粉は大さじ1〜2が一般的となります。
パン粉やチーズはいつ入れる?順番による違い
グラタン作りにおけるパン粉とチーズ投入の順番
基本の順番は以下の場合が多いようです。
- 耐熱皿に具材と(ホワイト)ソースを入れる
- 上からチーズをまんべんなく散らす
- 最後にパン粉を全体にふりかける
チーズやパン粉の特徴を活かして順番を変えることも可能です。
- サクサク香ばしさ重視 → チーズが先、パン粉が後
- しっとり濃厚な口当たり重視 → パン粉が先、チーズが後
この違いを知っておくと、好みや気分に合わせて「今日はどっちにしようかな?」と選べる楽しさが生まれますね。
チーズが先 → パン粉が後(上にくる)
特徴:
- パン粉に焼き色がつきやすく、湿らずに表面が「サクサク」に仕上がる
- パン粉の香ばしさが際立つ
- チーズもしっかりと溶けて、全体にとろける層を形成
おすすめなのは:
- パリッとした香ばしい食感が好きな人
- 焼き色や見た目を重視したいとき
- 定番のグラタンを楽しみたいとき
パン粉が先 → チーズが後(上にくる)
特徴:
- パン粉がチーズの水分を吸って、やや「しっとり」とした食感に
- 表面はとろけたチーズがメインになり、なめらかな印象に
- 香ばしさよりも「コク」や「まとまり感」が際立つ
おすすめなのは:
- しっとり感のあるやさしい食感が好きな人
- 表面にチーズのとろけたビジュアルを強調したいとき
- チーズの濃厚さを楽しみたいとき
焼き色を良くするための工夫
焼き色を美しくするには、パン粉にオリーブオイルや溶かしバターを少しかけてから焼くのがコツです。油分がパン粉全体に広がり、均一にきれいな焼き色がつきます。
パン粉なしでもグラタンは可能?
パン粉がなくても問題ありません。
チーズだけでも十分おいしく焼き上がりますし、表面をパリッと仕上げたい場合は、代用品としてクラッカーを砕いて使う、または粉チーズを多めに振るなどの方法もあります。
とろけるチーズとパン粉の相性
とろけるチーズとパン粉の組み合わせは、グラタンの定番です。チーズのコクとパン粉の香ばしさ、そして食感の違いが絶妙なバランスを生み出します。
粉チーズの使い方
粉チーズは香りと旨味をプラスする効果があります。
とろけるチーズに加えて、仕上げに粉チーズを少量ふりかけると風味がアップします。
チーズなしのグラタンは?
チーズなしでもグラタンを楽しめます。
その場合は、パン粉にバターを加えたり、ホワイトソースに豆乳や味噌を加えてコクを出すなどの工夫がおすすめです。
オーブンやオーブントースターでの設定と工夫
焦げを防ぐには
- 焼いている最中に表面が焦げやすい場合は、アルミホイルをかぶせて中までしっかり火を通す
- オーブンの場合は、上段ではなく中段に置くことで、焦げにくくなる
- 焼き上がりのサインをチェック(表面がこんがりきつね色になり、チーズがふつふつと泡立ってくる)好みによって、やや浅めの焼き色で仕上げるのもおすすめ
焼き色がつくまでの具体的な温度や時間
- 200℃のオーブンで15〜20分程度が目安
- オーブントースターの場合は、予熱なしで10〜15分程度。様子を見ながら焦げに注意しながら調整を
もっとグラタンを手軽に楽しむアイデア
ホワイトソースの作り方
ホワイトソースは、牛乳を豆乳にバターをオリーブオイルに置き換えるとあっさりいただけます。コンソメなどの顆粒だし、チーズやパン粉、クラッカー、砕いたナッツ類などで工夫するのもよいでしょう。
2人分基本の作り方
材料)小麦粉:30g、バター:30g、牛乳:300ml、塩:小さじ1/4、顆粒だし小さじ1、しょう少々
- 鍋に入れバターで小麦粉を弱火で炒める
- ダマにならないよう牛乳を少しずつ加え、とろみが出るまで混ぜる
1人分電子レンジの作り方
材料)小麦粉:大さじ1、バター:大さじ1、牛乳:100ml、塩こしょう少々
- 耐熱ボウルにバターと小麦粉を入れ、電子レンジで30秒加熱する
- 取り出してスプーンでしっかり混ぜた後、牛乳を加えて混ぜ、電子レンジで1分加熱
- 取り出して混ぜた後、再び電子レンジで1分加熱
- 取り出して混ぜ、塩こしょうを加えて味を調える ※ゆるい場合は10秒ずつ加熱・混ぜるを追加
グラタンに適した具材選びとバリエーション
鶏肉、エビや魚介、ベーコンなどのたんぱく質と、ほうれん草やブロッコリー、じゃがいもなどの野菜の組み合わせが定番です。味と食感のバランスを考えて組み合わせると、満足度の高い一品になります。
具材が多すぎると水分が出やすく、ソースがゆるくなりがちです。特に水分の多い具材(きのこ、ほうれん草など)は、事前にしっかり炒めておくことで水っぽさを防げます。
マカロニグラタンの基本レシピ
ゆでたマカロニをホワイトソースと和え、チキンや玉ねぎと一緒に耐熱皿に入れます。
チーズとパン粉をのせて、200℃のオーブンで20分ほど焼けば完成です。
じゃがいものシンプルグラタン
薄切りにしたじゃがいもをバターで軽く炒め、ホワイトソースと重ねて耐熱皿へ。チーズとパン粉をのせて焼き上げれば、じゃがいものほくほく感が楽しめる一品に。
バリエーション豊かな具材やソース
季節の食材や他国料理をヒントにして、冷蔵庫の残り物を活かしたアレンジが無限に楽しめます。
- 鮭とほうれん草のクリームグラタン
- カボチャとベーコンのグラタン
- 豆腐とひき肉の和風グラタン
- トマトソースを使ったグラタン(例:ムサカ風)
- ミートソースで簡単ラザニア風グラタン
- カレーをベースにしたグラタン(例:焼きカレー風やドリア仕立て)
- ラタトゥイユにチーズをのせて焼いたもの
- 魚やシーフードのグラタン 等々
具材やソースは自由で、「焼き目をつけること」がポイントです。
トッピングにおすすめの食材
- ナッツ(くるみ、アーモンドなど)で香ばしさアップ
- パセリやバジル、ドライハーブ、海苔などで彩りと香りをプラス 等々
グラタンの保存と解凍について
冷蔵保存
焼く前も焼いた後でも、1~2日冷蔵保存が可能です。
粗熱をとり耐熱容器に入れてラップをかけておきます。
焼く前の場合は、食べる直前にチーズとパン粉をのせて焼けば、焼きたての味が楽しめます。
焼いた後の場合は、電子レンジによる再加熱のみでもいただけます。具材によりオーブントースターを使えば表面がカリッと仕上がります。
冷凍保存での注意点
焼く前、焼いた後ともに耐熱容器に入れ、密閉することで、冷凍保存も可能です。
ホワイトソースは冷凍に向きませんが、焼く前に冷凍する場合は1〜2週間以内に食べきるのが無難です。
また、ホワイトソースを作り置きジッパー付き袋に1人分ずつ小分けで冷凍しておくと便利です。
解凍せずにそのまま焼くと失敗の少ない仕上がりになります。
まとめ
グラタンは「焼き目をつけた調料法」を意味し、具材やソースはさまざま、パン粉やチーズの順番ももちろん自由なお料理です。
グラタンのパン粉を使う順番により、お好みで仕上げの焼き色や食感に変化をもたらすことが可能となります。
- サクサク香ばしさ重視 → チーズが先、パン粉が後
- しっとり濃厚な口当たり重視 → パン粉が先、チーズが後
また、パン粉なしチーズなしでも十分楽しめるトッピング方法、具材やソースのバリエーションなどもご案内いたしました。色々とアレンジなさってみてくださいね。
おうちで手軽に、もっとグラタンを楽しみましょう。