シンプルな材料で作るペペロンチーノは、ちょっとした加減で味に物足りなさを感じるときもありますよね・・・「なんだか味が薄い」「あと一歩コクが足りないかも」など
そんなときも大丈夫です。
薄味になったペペロンチーノをおいしく変身させる簡単な味変方法をご紹介します。ちょい足し調味料や具材の工夫でリカバリーしながら、むしろ新しいおいしさに出会えるチャンスになるかもしれません。
また、味が決まるペペロンチーノの作り方のポイントもお伝えしております。
ペペロンチーノの基本と薄味の原因
ペペロンチーノとは?基本の材料
ペペロンチーノは、正式には「スパゲッティ・アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ(Spaghetti aglio, olio e peperoncino)」と呼ばれ、イタリアのシンプルなパスタ料理です。
名前の通り、「アーリオ(aglio)」はにんにく、「オーリオ(olio)」はオリーブオイル、「ペペロンチーノ(peperoncino)」は唐辛子を意味しており、基本の材料はスパゲッティ、にんにく、唐辛子、オリーブオイルの4つのみという、とてもシンプルな人気のメニューです。
現在ではイタリアのみならず、世界中で愛されており、日本の家庭でも身近な食材だけで作れるため、重宝される定番メニューのひとつといえるでしょう。
もともとはナポリを中心とした南イタリアの家庭料理で、シンプルでありながら、素材の香りや風味が引き立つため、にんにくの香りの引き出し方や、唐辛子の辛味のバランス、パスタの茹で加減や乳化の仕上げなど、作り手によってバリエーションが広がる料理でもあるということですね。
薄味になる原因の塩加減は
ペペロンチーノが薄味になってしまう主な原因は、パスタを茹でるときの塩加減と、ゆで汁の使い方にあります。
一般的なパスタは、1リットルの水に対して塩は0.5~1%の5~10g(約小さじ1~2)加えるのが基本で、これよりも少ないとパスタ自体に味が入らない状態となります。
味付けがシンプルなペペロンチーノでは、これでは塩が足りないこともあります。塩分濃度を1〜1.3%の10〜13g(約小さじ2~2.5杯)程度に増やすことで、パスタ自体にしっかりと下味がつきます。
また、ゆで汁を加え乳化させて作るソースの塩味も整いやすくなります。
ちょい足しで手軽に濃さ調整や味変する
薄味を補うための考え方
薄味になってしまったときは、塩だけを足すのではなく、うま味やコク、香りを補うようにすると、バランスのとれた味になり、味変もうまくいきます。
また、具沢山にしたりテイスト自体を変更して、もはやペペロンチーノベースからの別仕立てにアレンジするのも楽しんでしまいましょう。
具体的にどのような調味料や食材を使えばよいかをご紹介していきます。
おすすめの調味料や食材
- 黒コショウ
- 醤油・白だし
- コンソメ・鶏がらスープの素
- アンチョビ
- ベーコン・ソーセージ
- バター・粉チーズ
- レモン果汁
- 大葉・バジル
- フライドガーリック
- キノコ類・野菜・シーフード
黒コショウでスパイシー感を追加
味が物足りないと感じたら、粒状もしくは粗びきの黒コショウをひと振りするだけで、スパイシーさと香りが加わります。特にオイル系のパスタには黒コショウがよく合い、味が引き締まります。
コンソメ・鶏がらや中華だしの旨味を追加
洋風ならコンソメ、アジア系のテイストにするなら鶏がらスープの素や中華だしがぴったりです。味見しながらほんの少し加えるだけで、しっかりした味わいに変わります。
アンチョビでコクを加える
アンチョビを調味料として用いると、ペペロンチーノの風味に奥行きを与えてくれます。少量加えて炒めることで旨味が引き立ち、全体にコクが広がります。
魚介の香りが苦手でなければ、ぜひ取り入れてみてください。
醤油や白だしで和風アレンジ
醤油や白だしがおすすめで、少量加えるだけで旨味と風味がアップし一気に和風になります。いずれもさっぱりしつつ奥行きのある味変で満足感も生まれます。併せてしらす干しなどをトッピングしても合いますよ。
ベーコンやソーセージで旨味をプラス
ベーコンやソーセージなど、加工肉を加えるのも手軽でおすすめです。炒めるだけで肉の旨味と塩気が加わり、薄味のリカバリーにぴったりで食べ応えも増します。
バターやチーズで塩味とコクを追加
バターや粉チーズを最後に加えると、まろやかな塩味とコクがプラスされます。おすすめなのは粉状のパルメザンチーズやグラナパダーノなどで、塩分の調整もしやすくなります。
レモンでさっぱり食べやすく
レモン果汁を加えることで、酸味で薄味を補うとともに爽やかさが増して食べやすくなります。油っぽさを抑えたいときにも便利です。
大葉・バジル・パセリで香りを添える
香りを楽しみながら薄味を補うのもよい方法で、大葉・バジル・パセリなどがおすすめです。ドライタイプ、あればフレッシュなハーブは、全体の風味を一気に引き立ててくれます。
フライドガーリックをトッピング
小鍋を使って少量のスライスガーリックを弱火で揚げ、トッピングで追加することで、食感とともに薄味感を補います。ただし、食べ過ぎには注意しましょう。
キノコ・野菜・海鮮類など追加し具沢山に
ペペロンチーノに合う食材としては、キノコ(エリンギ・しめじなど)・野菜(ブロッコリー・アスパラガス・小松菜・ほうれん草など)・海鮮類(エビ・ホタテ・イカ・あさり)などが挙げられます。
(あさりを使うとスープのないボンゴレビアンコ風といえるかもしれませんね。)
具材を足すことで味に深みが出てバランスも整い、食べ応えも増しアレンジした一品になります。
味が決まるペペロンチーノ作り方のポイント
味変もいいけれど、やっぱり味が決まったシンプルなペペロンチーノが食べたいと思った時は、こちらもご覧になってみてください。
フライパンで作る基本的なペペロンチーノ(2人分)
材料
- スパゲッティ(160g)
- にんにく(2片)
- 唐辛子(1~2本、辛さのお好みで)
- ピュアオリーブオイル(大さじ2~3)
- 塩(水2Lに対し1~1.3%で20~26g )
- パスタの茹で汁(大さじ2~4)
- エクストラヴァージンオリーブオイル・黒こしょう(お好みで)
作り方
- パスタを茹でる
水2Lが沸騰したら塩1~1.3%(20~26g)を加えてパスタを茹でる(茹で時間は袋記載を参考に少し固めのアルデンテにするとオイルと絡みやすい)。茹で汁を少し(大さじ2~4程度)取り置く。 - にんにくと唐辛子を準備する
茹でている間ににんにくは薄切り、唐辛子はヘタをとり1本のままもしくは種を取り除いて輪切りにする。 - オリーブオイルで香りを出す
フライパンにピュアオリーブオイルを入れ弱火でじっくり温め、にんにくと唐辛子を加えてにんにくがきつね色になるまで加熱し、香りを引き出しオイルに移す。焦がさないように注意。 - パスタをフライパンに加える
茹で上がったパスタを湯切りしてフライパンに加え、オリーブオイルとにんにく、唐辛子をしっかり混ぜる。 - 茹で汁を加えて乳化させる
取り置いた茹で汁を少しずつ加えながら、パスタとソースを絡める。フライパンを揺すったり、木べらやトングで混ぜ様子を見ながら乳化させることで、滑らかなソースにまとまる。 - 味を調える
塩で味を調整し、お好みで黒こしょう・エクストラヴァージンオリーブオイルを加えると香り高く仕上がる。 - 盛りつけて完成
ポイント
ニンニクと唐辛子のバランスや使い方
初めて作る場合や新しい調整を試すときは、少しずつ加えて、自分の好みに合ったバランスを見つけるのがベストです。
にんにくの使い方
にんにくはスライス・みじん切り・つぶすなど、切り方によって香りや辛味の出方が変わり、ペペロンチーノの風味も大きく変わります。
- スライス:やさしい香りと甘さが引き立ち、加熱中はやや焦げにくくなる
- みじん切り:香りが立ちやすく、よりガツンとした風味になる。加熱中は焦げやすく特に注意が必要
- つぶしたにんにく:オイルに香りを移しやすく、全体に深みを与えることができる
また、にんにくの量も味の決め手です。控えめにすれば上品に、多めにすればパンチの効いた仕上がりになります。エチケット面での食後の用事の内容や有無、主役料理にするか他料理の中の一要素にするかを意識すると、使い方が変わってくることでしょう。
唐辛子の辛さを調整する
唐辛子は、辛さの加減が調整できる食材です。唐辛子の使い方一つで、仕上がりの印象が大きく変わるのがペペロンチーノの面白さでもあります。
- 種を取り除く:辛味が控えめになり、香りが引き立つ
- 種ごと使う:刺激的な味わいで辛味をしっかり感じられる
また、乾燥唐辛子を使う際には、輪切りやちぎって加えると辛味と香りがオイルにしっかり移ります。よりマイルドに仕上げたい場合は、1本そのままの形状で使います。
なお、辛さが苦手な方やお子さま向けに作る場合は、量を減らすだけでなく、鷹の爪の代わりにパプリカパウダーやほんの少しの黒胡椒で風味を加えるのも一案です。
フライパンで香りを引き出す弱火加熱
おいしく仕上げるには、オリーブオイルににんにくと唐辛子の香りをしっかり移すため、弱火でじっくりと加熱するのがポイントです。
にんにくは低温でじわじわと火を入れることで、甘みと香ばしさが引き出されます。逆に火力が強すぎると、表面だけが急激に焼けて焦げやすくなり、苦味が出てしまいます。
唐辛子も同様に、強火だと辛味が飛んでしまうことがあるため、低温で香りをオイルに移すよう意識しましょう。
にんにくがうっすらと色づいてきたタイミングが香りを最大限に引き出すポイントです。この時点で火を止めることで、失敗を防ぐことができます。仕上げ段階でも火加減を急に強くせず、全体をコントロールしながら進めることが、風味豊かでまとまりのある一皿に繋がります。
オリーブオイルの選び方とポイント
すぎると香りが飛んでしまうため、加熱用と仕上げ用で使い分けるのもおすすめです。
オイルは単なる炒め油ではなく、料理全体の風味を支える重要な要素になります。フルーティーなものや、スパイシーな後味のあるオイルを選ぶと、ペペロンチーノの味に深みが加わるため、オリーブオイルがおすすめです。
とはいえ、エクストラバージンオイルは高温に弱く、香りが飛びやすい性質があります。そのため、加熱用にはクセの少ないピュアオリーブオイルを使い、仕上げにエクストラバージンを回しかけるなど、2種類を使い分けるのも効果的です。
その他、軽めに仕上げたい場合には、グレープシードオイルやこめ油などもおすすめです。
また、分量を控えすぎると乳化がうまくいかず、全体がパサついてしまう原因になるため、適量をしっかり使いましょう。
茹で汁の塩加減とソースの乳化テクニック
茹で汁の塩加減のコツ
パスタを茹でる際の塩加減は、味の土台を決める重要なポイントです。しょっぱいと感じるくらいが目安で、パスタにしっかり味が入り、全体の塩加減が整いやすくなります。
ペペロンチーノのように具材がシンプルな料理では、一般的な茹で汁の塩分濃度0.5〜1%よりも、1〜1.3%程度に調整すると、パスタ自体にしっかりと下味がつき、物足りなさを感じにくくなります。つまり、水1リットルに対して塩10〜13g(小さじ2〜2.5杯程度)が目安です。
このようにパスタにきちんと味がついていることで、ソースとの一体感が生まれ、最終的な仕上がりのバランスが良くなります。また、塩分の整った茹で汁は、乳化の際に重要な役割を果たします。
ソースの乳化を成功させる
決め手ともいえる「乳化」がうまくいくことで、味がまとまりパスタにしっかり絡み、なめらかな一体感が生じ仕上がりが格段に変わります。
乳化とは、オイルと茹で汁を混ぜ合わせとろみのあるソースに変化させるテクニックで、この時、茹で汁に溶け出したパスタのでんぷん質がその働きを助けてくれるのです。
成功させるポイントは、
- オイルと茹で汁の分量は1:1~1:4
- 火加減は中弱火をキープし、様子を見ながら少量ずつ茹で汁を加え分離を避ける
- フライパンを小刻みに揺らすか、トングなどで全体をよく混ぜ合わせる
乳化がうまくいかず分離してしまうと油っぽく感じるため、一気に加えたり強火にすることなく、ていねいに仕上げることです。
まとめ
薄味になったペペロンチーノも、ちょっとした工夫でおいしく味変することができます。
アイデアとして挙げました10項目の調味料や食材を上手に取り入れれば、むしろオリジナルよりも好みに合う仕上がりになることもあるかもしれませんよ。
また、やっぱり味が決まる基本のペペロンチーノが作りたい時のために、以下のポイントを押さえた作り方もご紹介いたしました。
- ニンニクと唐辛子のバランスや使い方
- フライパンで香りを引き出す弱火加熱
- オリーブオイルの選び方とポイント
- 茹で汁の塩加減とソースの乳化テクニック
基本型とともにアレンジも、両方とも作って楽しんでみませんか。