足元やお腹をじんわり温めてくれる湯たんぽは、昔ながらの便利で心強いアイテムです。
寒い季節のみならず、夏のエアコンの効いた室内や季節の変わり目など、肌寒さや冷え対策に通年使うこともありますよね。
そんな時、従来型の湯たんぽの素材も増え充電式もあって、どちらのどのようなものを選べば良いか迷ってしまいませんか?
今回は「充電式」と「お湯式」それぞれの素材別を含めた特徴や違い、使用時の注意点、保管方法、さらにエコな歴史と代用品などを含め、幅広くご紹介しております。ご自身の好みや用途に合った湯たんぽ選びの参考として、ご覧ください。
湯たんぽの種類と特徴
充電式・お湯式・その他
湯たんぽは大きく分けて、充電式とお湯式の2タイプに分けられます。またその他には、湯以外を用いた保温具類が(カイロのように)湯たんぽ同様の目的で使用される場合があります。
- 充電式湯たんぽ 内部に液体やゲルが入っており、電源に接続して数分間加熱するだけで使えるタイプ、繰り返し使える点が魅力です。
- お湯式湯たんぽ やかんや電気ポットで沸かしたお湯を注ぎ入れて使う昔ながらのスタイル、電気を使わず温もりが得られる点が魅力
- その他(湯以外を用いた保温具) 電子レンジで数分温めるだけで(カイロや湯たんぽのように)用いられる、ジェルパック式、セラミックビーズ、袋詰めの小豆、もしくは米ぬか・玄米・塩の混合物など
素材やサイズの特徴と選び方
湯たんぽにはさまざまな素材があります。
- 陶器製 保温力が高い、重くて扱いにより割れる恐れも
- 金属製 ブリキや銅製など保温力が高く丈夫、重く熱さが伝わりやすいためやけどに注意
- プラスチック 軽くて比較的廉価で試しやすい、やけどや割れに注意
- 樹脂製・ゴム製 軽量でやわらかく身体に沿い携帯もしやすい、高温に弱く、入れ口が狭いため湯入れ時に注意
- ウェットスーツ素材・布製(カバー一体型) カバーかけの手間なし、デザインも豊富で携帯にも便利、断熱性にも優れ価格帯はやや高め
- PVC素材 主に充電式および柔らかいお湯式の一部、身体に沿い携帯にも便利(充電式は内容液入りでサイズにより携帯には不向き)
サイズも重要な選択ポイントです。
- 小型:軽くて持ち運びにも便利、部分的に温めたいとき
- 大きめサイズ:布団全体や室内でエアコンを使用せず下半身を温めたい場合など
いずれの湯たんぽ使用時にも注意すること
・注ぐ時、充電時の注意点
お湯式では、注ぐ際にやけどをしないようある程度のサイズを確保した平らな場所で、注ぎ口が小さかったり柔らかい素材の場合には漏斗などを使用して注ぎ入れると扱いやすくなります。
充電式では、使用前に破損や液漏れがないかを確認し、正規の充電器を使い水平に置いて充電しましょう。
・低温やけど注意と対策
どちらのタイプも、肌に長時間触れた状態が続くと低温やけどのリスクがあります。厚手のカバーを使ったり、直接肌に触れないようにするなどの対策が必要です。
充電式・お湯式湯たんぽの特徴
充電式湯たんぽについて
特徴・メリット・デメリット
特徴
- 充電器をコンセントにさし内部の蓄熱材を電気で加熱するだけで、短時間(およそ15〜20分)で使用可能な温度まで温まり、保温時間は環境によるが一般的に5〜6時間持続
- コードレスで持ち運び可能なため、寝室やリビングなど場所を選ばず、一度持参すれば職場でも、活用できる
- USBケーブルで充電可能なものもある
メリット
- お湯を沸かす手間が不要、スイッチ一つで温まる手軽さ
- コンセントがあればいつでも利用できる
- 蓄熱材を繰り返し利用できるため、適切に使用すればコストパフォーマンスも良好
- 温度調節機能やタイマー機能、過熱防止機能などがあるものも多い
- サイズや軽いものを選べば、携帯持参しやすい
デメリット
- 内部のバッテリーやヒーターの使用年数には限りがあり、おおよそ2〜3年(充電サイクル300〜500回)で蓄熱性能が落ちる、もしくはバッテリーの劣化が起こる可能性を鑑み、買い替えが必要
- お湯式より価格が高いものも
- 電力使用のため、電気代が必要および停電時には使用できない
- USBケーブル経由では充電に時間がかかり保温持続時間は短い傾向(用途を考慮すること)
- 充電の持ちが切れて冷たさを感じる場合も
- 中の液体蓄熱材が冷めるまで再加熱できないものもあり、連続使用できない場合がある
- サイズが大きいものは重さもあり、外出先への携帯には不向き
向いている使い方
- 準備も片付けも簡単に使いたい
- コンセントやUSBなど電源が使える環境での使用
- 短時間の使用が多い場合
- お湯漏れの心配が少なくペットにも
- 在宅ワークやオフィスでのひざ掛け下のおなかや足元用保温
- コンセントを外して移動使用可能
注意するポイント
- 使用前に定期的にカバーや本体に破損や亀裂がないか確認
- 平らで安定した場所に置き、説明書に従って専用コードで充電
- 充電中は異常な音やにおい、過度な熱を感じたら使用を中止
- 過充電を防ぐため、自動停止機能がある場合にも長時間の充電放置は避ける
お湯式湯たんぽについて
特徴・メリット・デメリット
特徴
- お湯を注いで温める昔ながらのタイプで、保温時間は3〜8時間程度と素材によって異なる
- 保温力・断熱性・耐久性・使い勝手なども、素材とサイズにより異なる
- お湯があれば使用可能
メリット
- 電気を使わず、エコ
- キャンプやアウトドアなど屋外での使用や災害時・停電時の防寒にも対応
- 素材のバリエーションも豊富で、用途や目的に合ったものを選びやすい (金属・陶器・プラスチック・樹脂・ゴム・ウェットスーツ・PVC素材など ※前章をご参照ください) 例えば、 金属・陶器製は保温性が高く布団の中など限られた空間なら朝まで持続する場合も ウェットスーツ素材は断熱性・保温性に優れカバーなしで職場や外出先で使用可能 出張時などにミニサイズやゴム・PVC系の柔らかいプラスチックなどは携帯持参しやすい 金属・陶器製は耐久性が高く、充電式より買い替え年数が長い(5年以上持つ場合も)等々
- 比較的廉価で取り入れやすく買い替えやすいものも多い
- 素材にもよるが、好みの湯温を入れて使用できる プラスチックやゴムなどは50℃程度と低めになるが、金属・陶器・ウェットスーツ・樹脂製のものは70~80℃と高めのお湯を入れることも可能
- 50℃前後の温度なら湯沸かし器のお湯を入れる手もある
- 温度設定した電気ケトルの湯を使うことも可能で、温度管理も楽に
- 湯たんぽ内のお湯は、金属製沸かし直して湯たんぽにやお風呂に入れて使える(汚れていない場合)
デメリット
- お湯を沸かす手間、注ぐ時のやけどリスクに注意が必要
- 熱湯は避けるとともに、素材に合った湯温管理が必要
- 素材によっては劣化やサビの原因となるため、使用後に中身を捨てて乾燥させる手間も必要 プラスチック製は2〜3年程度で劣化する場合がある 陶器製は割れに注意して丁寧な扱いが必要
- 素材自体が重いものもある
- 使用時にお湯漏れの可能性がある
向いている使い方
- 家事などでキッチンに立つことが多く湯を使いやすい場合
- 高めの温度で保温持続時間も長めに使用したい場合
- 寝る前の布団内使用、日常的なサブ暖房保温として
- お湯式の使用感が好み(じんわりしっとりした温かさ)
- キャンプや車中泊、災害時の暖を取る手段や備蓄に
- 電気を使わずに温もり得たいと感じる
注意するポイント
- 使用やお湯を入れる前に、欠け・割れなどの損傷がないか確認する
- お湯を注ぐ時は安定したテーブルに置き、やけど防止のため厚手の布やミトン、注ぎ口には漏斗を使用するとやりやすくなる
- フタをしっかり締め、こぼれや漏れがないことを確認する
- カバーを使用し、柔らかいものは曲げたままにならないよう、金属・陶器・硬いプラスチック製などの場合はフタ面を上にして横倒しにしないよう注意
- 使用後はしっかり乾燥させてから保管する
充電式・お湯式選び方をまとめると
充電式湯たんぽ(手軽さや利便性、短時間使用) ボタン一つで素早く温められ、手間なく現代のライフスタイルにマッチ サイズや軽いものを選んで携帯持参や職場の電源使用にも便利
さらに具体的には、
- 準備も片付けも簡単に使いたい
- コンセントやUSBなど電源が使える環境での使用
- 短時間の使用が多い場合
- お湯漏れの心配が少なくペットにも
- 在宅ワークやオフィスでのひざ掛け下のおなかや足元用保温
お湯式湯たんぽ(エコや屋外・非常時、温度高め長時間使用) 電気を使わず温まり、節電・防災にも強い味方 さまざまな素材の特徴を知りサイズとともに目的用途に合わせた使い方が選べる 折りたためるものは出張や職場使用も
さらに具体的には、
- 家事などでキッチンに立つことが多く湯を使いやすい場合
- 高めの温度で保温持続時間も長めに使用したい場合
- 寝る前の布団内使用、日常的なサブ暖房保温として
- お湯式の使用感が好み(じんわりしっとりした温かさ)
- キャンプや車中泊、災害時の暖を取る手段や備蓄に
- 電気を使わずに温もり得たいと感じる
お好みで自宅は充電式、湯が使える外出先は折りたためるお湯式、災害時用に備品にお湯式など、両方持ち使い分けるのも賢い方法です。
湯たんぽのメンテナンス
使用後のお手入れや保管方法に留意することで、長持ちさせて気持ちよく使用できます。直射日光や高温多湿を避けた場所に保管し、カビ発生やホコリ・汚れの付着を防ぎましょう。
- 充電式:使用後は乾いた布で表面の汚れを拭き、湿気の少ない場所で保管、特に長期間使わない場合は説明書に従いコードやバッテリーを適切に管理
- お湯式:中のお湯を完全に抜き、内部をよく乾燥させて重たいものは乗せずに保管
また、落下など強い衝撃により破損してしまう場合があります。日々の使用時のほか、保管時や取り出す際にも、扱いに注意しましょう。
ヒビや破損、充電異常などが見られる場合は、無理に使わずメーカーに問い合わせるか、廃棄を検討するようにしましょう。
湯たんぽの歴史とエコなやさしさ
古くから特に冬の寒さ対策として、身体を温める方法に湯たんぽが用いられてきました。エアコンが普及した現代においても、エコなアイテムとしてまた冷え対策として根強い人気があります。
湯たんぽの歴史
湯たんぽが中国から伝来する以前、平安時代初期には、軽石などを温めて布に包んだ温石(おんじゃく)で布団や身体を温めていたとの記録があるそうです。
湯たんぽは、室町時代後半に伝来した湯婆(たんば)に由来し、湯の文字をかさねて「湯たんぽ」と呼ばれるようになっといわれています。
江戸時代には陶器製のものが庶民の間にも普及したのち、明治~大正時代には金属製、昭和時代にはゴムやプラスチック製、平成時にはシリコン樹脂製とさまざまな材質の湯たんぽが登場し、より軽量で扱いやすい形へと工夫がなされていきました。
そして2000年代以降には、電気で内部の液体やジェルを温めるタイプの充電式湯たんぽが登場したといわれています。これらはコードレスで使用でき、再加熱もスイッチひとつで完了するなど、利便性の高さから人気が高まっています。
現在では、陶器・金属・ゴム・プラスチック・布製カバー付きのタイプに加え、充電式やUSB対応モデル、デザイン性に優れたかわいらしいものまでさまざまな湯たんぽが存在し、用途や好みに合わせて選べる時代になっています。
湯たんぽカバーの選び方
湯たんぽにカバーすることで、使用感がアップするとともに楽しさもひろがります。
- 厚みや素材を考慮することで、やけど防止と快適な温度を少しでも長く保てる
- 洗える素材を選ぶことで、扱いやすく清潔に使える
- 好みの色や触り心地などを選ぶことで、お気に入りの時間に
- ぬいぐるみ型やかわいいデザインなどで、気分転換にもギフトにも
やさしいあたたかさの活用
湯たんぽは、エアコンや電気毛布よりも乾燥を招きにくく、自然な温もりが得られます。
また室内全体ではなく、一人分だけもしくは必要な部位だけ温められるので、電気代も身体にもやさしい点も魅力です。
特に夏のエアコンが利いた室内での利用や、季節の変わり目で肌寒い日などの冷え対策に、自宅以外にオフィスや一部は外出先でも使用可能で都度自分で調整しやすいのも便利ですよね。
ソファで読書中のひざ掛けの下に置いたり、足元を温めるなど、お湯を沸かすだけもしくは充電するだけで、日常の中で手軽に使えます。
就寝前に布団に入れておくだけで、布団全体がほんのり温かくなり、休みやすい環境に整えることができます。
温められることで、心身もほぐれて気持ちよくありがたさを感じられるのではないでしょうか。
湯たんぽの代わりになるものは?
湯たんぽが手元にない場合や、アウトドア、災害時など特別な状況では、身近なもので代用できるものがあります。
以下にペットボトル・フタつきボトル缶・袋入りタオル・茹でたこんにゃくによる代用と使用方法をご紹介いたします。
これらの代用品は、やけどや破損には十分注意して使用することが必要ですが、一時的で短時間の温めや非常時には役立ちます。よろしければ参考になさってください。
ペットボトル湯たんぽ
耐熱性のあるペットボトルに約50〜70℃のお湯を7~8分目まで入れ、しっかりとキャップを閉めて、タオルや布で包んで使用することで、簡易的な湯たんぽとして利用できます(※耐熱性があるかわからない時は50℃以下のお湯、おふろの残り湯などを入れます)。
ペットボトルの耐熱温度を確認し、やけどや破損に注意してください。
フタ付きボトル缶
市販のコーヒーなどのフタ付きボトル缶に50~60℃のお湯を入れて使用する方法で、熱伝導性が高いため温かさを感じやすく、タオルで包むことで保温効果が高まります。
レンジで温めた袋入りタオル
濡らして絞ったタオルを電子レンジ600Wで2分ほど温め、ビニール袋に入れます。さらにタオルや布で包んで使用することで、短時間の温めに役立ちます。
加熱しすぎるとやけどの恐れがあるため、時間調整や温度を確認してから使用してください。
茹でたこんにゃく
こんにゃくを茹でてタオルや布で包み温度調節して使います。保温性があり、柔らかいため体にフィットしやすいのが特徴です。
使用後は水を張ったタッパーに保存しておくことで再度使用可能ですが、食用はせず廃棄してください。
まとめ
湯たんぽは、充電式とお湯式それぞれに異なる魅力があります。
- 充電式湯たんぽ(手軽さや利便性、短時間使用)
- お湯式湯たんぽ(エコや屋外・非常時、温度高め長時間使用)※ただし素材による
素材も含め、使用シーンやライフスタイルに合わせて適したものを選ぶことで、寒い季節はもちろんのこと通年、心地よく過ごすことができます。
両方のタイプや複数を持ち、用途別に使い分けるのも重宝します。
また、適切なお手入れや保管、使用時の注意事項を守ることで、湯たんぽをより長く活用できることでしょう。
代用品も活用しながら、必要な時に手軽にほっこりとしたぬくもりを楽しみませんか。