鏡開きは平日にあたることが多く、手間がかかると億劫に感じませんか?
「うちはいつ?」「NGなことは?」「ぜんざい以外でもいい?」気になることをまとめました。由来や意味、地域ごとの日程、鏡餅の扱い方、縁起物としてのぜんざい、それ以外の食事として食べやすい簡単レシピもご案内いたします。
一人暮らし・ご家族・忙しい平日も、正月行事を締めくくる季節の節目を楽しみましょう。
鏡開きとは?

鏡開きは、正月にお供えした鏡餅を決まった日(1月11日など)に下げて、雑煮や汁粉(ぜんざい・おしるこ)などにして食べる行事です。
年神様(としがみさま)をお迎えした依り代としての力を分け合っていただく、「直会(なおらい)」の考え方にもつながり、家族や自分の一年の区切りとして受け継がれてきました。
鏡開きの由来・意味・歴史
鏡開きの由来や意味の背景は、「鏡(神聖なもの)」「餅(神さまの力が宿る食べ物)」「お下がりをいただく」という3点に集約されます。
- 平安時代:餅鏡(もちかがみ)
古くは「鏡餅」ではなく「餅鏡」と呼ばれていたとされます。鏡は祭器として特別視され、餅もまた神聖な力がこもる食べ物と考えられてきました。鏡に見立てた丸い餅を神に供えて祝う――その発想が根にあります。 - 鏡餅の意味:年神様の依り代よりしろ
鏡餅は、年神様をお迎えするお供え物です。二段の丸餅は月と日(陰と陽)になぞらえられ、「福が重なる」「円満に年を重ねる」といった縁起の解釈も語られます。橙(だいだい)や裏白(うらじろ)、ゆずり葉など、飾りそれぞれにも意味が重ねられてきました。 - 室町時代〜武家の風習:具足餅・具足開き
鏡開きの「開き」は、武家で行われた新年の節目の儀式「具足開き」(具足=甲冑かっちゅうに供えた餅を下げていただく風習)につながるといわれます。男性は具足に、女性は鏡台に供える習慣が語られる地域もあります。 - 江戸時代:庶民へ広がり、現代へ
武家の作法や年中行事が町へ浸透し、家庭の行事として定着していきました。今では宗教儀礼というより、「年の切り替えを味わう暮らしの節目」として、家庭ごとに取り入れられています。
餅を割るのになぜ「鏡開き」?運を「開く」
鏡餅は「割る」よりも「開く」と言われますが、その言葉の選び方には、縁起の考え方があります。
- 「割る」は、壊す・別れるなどを連想しやすい
- 「開く」は、門出・広がり・運がひらけるイメージ
樽酒のふたを木槌で開ける儀式も「鏡開き」と呼ばれますが、こちらも同じく「開く」という言い方で祝いの場の雰囲気を整えてきました。
いつ行う?地域による違い
鏡開きは、基本的に松の内が明けた後に行うのが一般的です。松の内は地域差があるため、鏡開きの日も違いが出ます。
- 関東中心:1月11日ごろ
松の内を1月7日までとする地域が多く、11日に鏡開きをする家庭がよく見られます。 - 関西中心:1月15日(小正月)/1月20日(二十日正月)
松の内を15日までとする地域では、15日に鏡開きをすることがあります。二十日正月に行う風習が残る地域もあります。 - その他:地域の作法に合わせる
京都の一部では1月4日など、家庭や地域の作法で日が前後するケースもあります。迷う場合は、まずは地域の松の内に合わせてみると、違和感が出にくいでしょう。
※基本の目安(1/11・1/15・1/20など)は毎年変わりません。ご自宅の地域や家族のやり方に合わせて大丈夫です。
当日食べられない場合は
鏡開きが平日に当たると、「割るところまでで精一杯」「食べるのは翌日」ということもありますよね。現在は、「当日に必ず食べる」といった決まりというわけではありません。
取り入れやすい順に並べると、こんな流れになります。
- 鏡餅を下げる(お供えを終える)
- 割って(開いて)小さくする
- 料理にしていただく
忙しい日は、1〜2までを済ませておき、食べるのは翌日でも構いません。とはいえ、鏡開きは「いただくところまで」が行事の核でもありますので、可能な範囲で、なるべく早めに食卓へ回すのがおすすめです。
鏡餅の扱いとNGポイント

鏡開きは、年神様の力の宿ったお供え物をいただく行事です。だからこそ、扱いは「丁寧に・感謝を込めて」行うことが基本といえるでしょう。
こちらでは、鏡開きでやってはいけないこと(NG)として語られやすい点を、理由とともに整理します。
NGにあたることとその理由
・松の内に行うのは避ける
鏡餅は松の内の間、年神様の依り代になると考えられてきましたので、松の内が明ける前に下げるのは、行事の流れとしては避けたほうがよいでしょう。
・包丁で切るのはなるべく避ける
鏡餅に刃物を向けるのは、武家の作法(切腹や縁切りの連想)と結びつき、縁起を担ぐ意味合いから避けられてきました。
ただし、現代は鏡餅が非常に硬くなることもあり、無理は禁物です。浸水や電子レンジで柔らかくする方法を施してもどうしても割れない場合や、パック餅の取り出しで必要な場合には、道具を使うこと自体を責めなくてもよいのではないでしょうか。
大切なのは、行事の心(お供えをいただく)を外さないことといえるでしょう。
・食べずに捨てる
鏡餅は「下げて、開いて、いただく」までが一連の流れです。食べ切れない分は、乾燥させておかきにしたり、冷凍して後日料理に回したりと、工夫でつなげます。
※カビが出た場合は、無理に食べるのは避けましょう。取り除ける範囲か、状態はどうかを見て、判断してくださいね。
お餅の割り方
鏡餅の割り方は、形状(大きさ・二段か一段か)、容器入りかどうかで変わります。共通して押さえたいポイントは次の通りです。
- 割ったあと、すぐ食べない分は干して乾燥させる(または冷凍)
- ボロボロに崩れた欠片も活用できるので集めておく
- カビは状態を見て、必要に応じしっかり取り除く
- 子どもと行うなら、無理のない役割分担を(木槌を軽く当てるだけでも参加になります)
パック入りの場合は、容器や包装を開けるだけでOK
最近多いのが、鏡餅形の容器の中に個包装の餅が入っているタイプです。この場合は、包装を開けて普段通り使えます。
一方で、鏡餅形の容器に餅が充填されているタイプは、取り出しにコツがあります。
- 容器の縁をハサミで切って開き、フィルムをはがす
- 取り出しにくい場合は、容器ごと湯せんで少し温めてからカットしてフィルムを外す
- スプーンなどで少しずつはがして取り出す
「割る」というよりも、「取り出して小分けにする」イメージで進めると、扱いやすいですよ。
伝統的な木槌・手で割る

昔ながらの鏡餅(飾り餅)は、乾燥してかなり硬くなります。
- 新聞紙や厚手の布を敷き、欠片が散りにくいようにする
- 木槌で軽くたたき、ひびを入れる
- ひびから手で少しずつ開いていく
最初から一気に強く叩くと欠片が飛びやすいので、「複数回に分けて叩く→ひび→手で」の順が向いています。
固さに応じて浸水・電子レンジを用いる
どうしても硬い場合は、柔らかくしてから分ける方法もあります。
- 浸水:ボウルに水を張り、餅を浸して数時間〜一晩おく(状態で調整)
- 電子レンジ:耐熱容器に餅が浸る程度の水を入れ、ラップをして30秒ほどの短時間加熱で様子を見ながら追加
- 湯通し:耐熱袋に入れて沸騰した湯の中で少し温め、表面がゆるんだら取り出して分ける
「少しずつ」「様子を見ながら」がコツです。
定番の食べ方「ぜんざい・おしるこ・雑煮」と豆知識

鏡開きといえば、ぜんざい・おしるこを思い浮かべる方が多いですよね。その定番の理由と、ちょっとした豆知識をまとめます。
ぜんざいやおしるこを食べる理由
鏡開きで小豆を合わせるのは、古くから小豆の赤色が邪気などのよくないものを遠ざける色と見なされ、節目に用いられてきた背景があります。そこに、年神様のお下がりである鏡餅を合わせることで、新年らしい一椀になります。
現代では、
- ゆで小豆(缶・パック)
- さらしあん(粉末)
などを使えば、より手軽に作れます。忙しい日でも「今日は鏡開き」と分かるメニューにしやすいのが、ぜんざい・おしるこの良さでもありますよね。
ぜんざいとおしるこの違い
呼び方には地域差が大きく関係しており、一般的な分け方には、以下のような違いがあります。
- 粒あん/こしあんで呼び分ける地域がある
- 汁気の多さで呼び分ける地域がある
「各地域別おもな違い区分一覧表」を目安としてご覧ください。
| 地域 | 粒あん(汁あり) | こしあん(汁あり) | 汁気なし |
| 関東 | おしるこ(田舎汁粉・小倉汁粉) | おしるこ(御膳汁粉) | ぜんざい |
| 関西 | ぜんざい | おしるこ(御膳汁粉) | 亀山 |
| 九州 | (関西と同様)ぜんざい
※一部地域では白玉入り=ぜんざい |
おしるこ
餅入り=おしるこ |
※北海道では、おしるこ・ぜんざいの名称は明確に区別されていないことが多いようです。
家庭内で呼び方が決まっているなら、それがいちばん自然です。
また詳細につきましては、「おしるこ」と「ぜんざい」違いは?由来や地域性・アレンジで楽しむ方法をご覧ください。
お雑煮も定番
鏡開きの餅は、雑煮にしていただくのも定番で、すまし仕立て、しょうゆ仕立て、白みそ仕立てなど、地域色が出やすい料理でもあります。
「正月の雑煮とは具を変える」「汁物として軽めにする」など、鏡開き用に整えると、平日でも作りやすくなるでしょう。
おかきや玄米茶も鏡開きから生まれた

- おかき(かきもち):鏡餅を手で欠いて(かいて)作る「かきもち」が語源とされ、室町時代の宮中で女房ことばとして「おかき」と呼ばれるようになった、という話が伝わります。
- 玄米茶:鏡餅を割ったときに出る細かな欠片を炒って茶葉に混ぜたことがきっかけ、という京都のお茶屋さんの逸話があります。
鏡開きの欠片は、「細かいほど使い道がある」と言ってもいいくらいですので、捨てずに集めておくと、次の章でご案内するレシピが活きてきますよ。
ぜんざい以外のお餅の食べ方簡単レシピ集

「毎年ぜんざいばかりでは飽きる」「甘いものが得意ではない」「別途作らずに食事として取り入れたい」――そんな方に向けて、鏡開きのお餅を「ごはん側メニュー」に寄せたアイデアを集めました。
なお、一部の地域の考え方を除けば、鏡開きの餅を焼いて食べること自体を禁じる決まりは一般的ではありません。家庭で食べやすい形にして大丈夫です。
※お餅は食べる方の状況(年齢・噛む力など)に合わせ、サイズを小さめにするなど配慮すると食卓に出しやすくなりますよ。
焼き餅・茹で餅・揚げ出し餅

焼き餅(オーブントースター/フライパン/網・グリル)
- 表面がふくらみ、焼き色がついたら食べごろ
- つけだれは好みでOK
おすすめの食べ方
- みたらし(砂糖+しょうゆ)
- 磯辺焼き(しょうゆ+海苔)
- しょうゆバター
- 辛味餅(大根おろし+しょうゆ)※縁起を担いで「加楽実(からみ)」と呼ぶことも
- キムチーズ餅(キムチ+チーズ)
他にもお好みの組み合わせで、自由にいただきましょう。
電子レンジで簡単「茹で餅」
- 耐熱容器に餅を入れ、餅が浸る程度の水を注ぐ
- ラップをして500Wで2〜3分を目安に加熱(様子を見て調整)
- 取り出して水気を切り、きな粉餅などや和え物へ
揚げ出し餅(揚げ焼きで)
- フライパンに少し多めの油を入れ、両面をこんがり
- だし(めんつゆを薄めても)+大根おろしで「みぞれ」風、鍋の締めにひと手間かけて入れるのもおすすめ
汁物・うどんに入れる

鏡開きの餅は、汁物に入れると「食事としての収まり」がよくなります。
- けんちん汁(根菜+豆腐)に餅をプラス
- 豚汁に餅を入れて「力汁」風
- スープ(ミネストローネなど)に小さめの餅を入れる
- 力うどん(温かいうどんに焼き餅/茹で餅をのせる)
ポイント:餅は大きいほど残りやすいので、小さめが扱いやすいです。
鍋の締め
鍋の最後に餅を入れると、米とは違う満足感が出ます。
- すき焼き風の鍋:焼き餅を加える
- 鶏だし鍋:茹で餅を入れて軽く煮る
- キムチ鍋:チーズを少し足して「キムチーズ餅」寄せに
コツは、締めの段階で入れて煮すぎないこと。溶けすぎると扱いにくくなります。
ピザ・グラタン・お好み焼きに
甘くない食べ方の中でも人気が出やすいのが、洋風アレンジです。
- 餅ピザ:フライパンに餅を広げて置き、ピザソース+チーズ+具でふたをして蒸し焼き
また、先にオーブントースターで餅を軽く焼いたあと、ソース・具・チーズを後のせして焼く - グラタン:グラタン皿に餅+具(玉ねぎ・きのこ等)+チーズで焼く
- お好み焼き:小さく切った餅を生地に混ぜて焼く(入れすぎると重くなるので控えめに)
餅ソース(細かい欠片も活用)
欠片が細かいほど簡単に溶けて、餅のとろみを活かすことができます。
餅チーズソース(目安)
- 餅:50g
- 水や牛乳:大さじ2~3
- とろけるチーズ:80~100g
鍋(または耐熱容器)で餅をゆるめ、チーズを溶かしてソースにします。温野菜やパン、パスタに合わせると食卓がまとまります。
餅フレンチトーストレシピ(1人分)
細かい欠片の方がむしろ作りやすく、モチモチ食感でおやつ寄りの食べ方です。時間が経つと固さが出てきますので、できるだけ早く食べるのがおすすめです。
材料(1人分)
- 餅:50g(市販の切り餅1個分くらい)
- 卵:1個
- 牛乳:50g(豆乳でもOK)
- 砂糖:8〜10g
- バター:5g
作り方
- 餅を1cm角ほどに細かくするか、欠片を用意します。
- 大きめの耐熱容器に餅と牛乳を入れ、ふんわりラップをして電子レンジで加熱します(600Wで3分前後を目安に、餅が溶けるまで)。
- しっかり混ぜて餅をなめらかにし、砂糖→卵の順に加えてよく混ぜます。
- 卵焼き器や小さめのフライパン・スキレットなどにバターを入れ、弱火で生地を流します。
- 上にアルミホイルをかぶせ、弱火で4〜5分ほど焼き、半分に折って完成です。
ポイント:弱火でじっくり焼くと、表面が焦げにくくまとまりやすくなります。
おこわ風炊き込みご飯(2合)レシピ
細かい餅の欠片は、炊き込みにも活躍します。餅が大きいと炊き上がりで残りやすいので、欠片向きです。
材料(2合分)
- 鏡餅のかけら:50~80g(切り餅1〜2個分)
- 米:2合
- 油揚げ:1枚
- にんじん:1/2本
- 枝豆(冷凍むき身なら便利):50g
- めんつゆ:小さじ2
- 水:2合の目盛りまで
作り方(炊飯器)
- 米を研ぎ、炊飯釜に入れます。
- めんつゆを加え、2合の目盛りまで水を注ぎます。
- 油揚げは熱湯を回しかけて油抜きして短冊切り、にんじんは細切りにします。
- 具(油揚げ・にんじん)と餅の欠片を米の上にのせ、普通炊きで炊飯します。
- 炊き上がったら枝豆を加え、さっくり混ぜて完成です。
他にも、シンプルに小豆を入れたおこわ風や、コーンや鶏肉など色々具材や味付けを変えて、おこわ風のもちもち食感を楽しめます。うるち米となじんでいますので、冷めても食べやすいですよ。
揚げ餅・おかき(揚げない方法も)

鏡開きの「らしさ」が出やすいのがおかきです。乾燥させるほど食感が出やすいので、時間がある日や後日作るか、作り置きにも向いています。
オーブントースターで「揚げないおかき」
- 3~5cm大ほどの餅の欠片をアルミホイルに広げ、オーブントースターで様子を見ながら焼きます。
- 焼き上がった餅の表面に、手またはスプレーで軽く水をかけます(粉がつきやすくなる)。
- 塩・砂糖・こしょう・カレー粉などを振りかけて絡めます。
- しょうゆ系はスプレーで吹きかけると、少量でも広がりやすいです。
フライパンでバターおかき(香り重視)
- 乾燥させた餅(5mm大くらいが目安)を、弱火で油少量と一緒に炒める
- ふくらみと焼き色を見て、最後にバターと塩やしょう油で仕上げる
まとめ

鏡開きは、正月に供えた鏡餅を下げていただき、年の節目を整える縁起物の行事で、日程は地域差があり、松の内が明けたあとに行うのが一般的です。
包丁を避ける言い伝えや、餅を捨てずに食べ切る考え方、丁寧な扱いも、年神様や新年を迎えられた感謝の心として押さえておきたいところではないでしょうか。
最後に、ポイントをまとめます。
- 鏡開きの由来は、鏡餅は年神様の依り代とされ、その力を分け合っていただく直会(なおらい)や武家の具足開きから
- 鏡開きは松の内が明けたあとが目安(関東は1/11、関西は1/15や1/20など)
- 「割る」ではなく「開く」、縁起の言い方として受け継がれてきた
- 包丁はなるべく避けつつ、硬すぎるときは浸水・電子レンジ加熱なども用いて無理はしない
- ぜんざい・おしるこは邪気払いとして定番、その他の食べ方として食事向けアレンジも幅広い
- 欠片は捨てずに集めると、おこわ風炊き込み・餅ソース・餅フレンチトーストやおかきなどに活きる
一人暮らしでも、共働きでも、仕事のある日でも、できる範囲で取り入れることは可能です。
鏡開きを「ちゃんとしなきゃ」と構えすぎず、新年の空気感や季節の区切りを味わう行事として、気持ちよく食卓に迎えられますように。

