数ある紅茶の飲み方の中でも、ミルクを加えたミルクティーは世界中で親しまれているスタイルのひとつです。
日本でもその人気は高く、カフェや市販品の他、ご自宅でも簡単にいれることができるのも魅力で、ミルクティーを好んで飲むという方も多いのではないでしょうか。
ところ変われば世界にはさまざまなミルクティーがあり、材料・ミルクの種類や作り方にバリエーションがありますので、簡単ではありますがいれ方とともにご案内いたします。
さまざまな「紅茶+ミルク(+α)」
ティーウィズミルク Tea with Milk(シンプルかつ奥深い)
最も一般的なミルクティーのスタイルが「ティーウィズミルク」です。 しっかりと抽出した紅茶にミルクを加えるだけのシンプルなレシピで、
茶葉の種類・紅茶とミルクの比率・砂糖の有無や量・いれるのはミルクが先か紅茶が先かなど、わずかな違いで風味が大きく変わります。 お好みに合わせて簡単に調整できます。
ロイヤルミルクティー/シチュードティー Stewed Tea(煮出し)
「ロイヤルミルクティー」は鍋で紅茶を煮出し、さらにミルクを加え軽く煮て作るミルクティーです。この名称は日本でのみ用いられる和製英語で、海外では「シュードティー」と呼ばれています。
紅茶と牛乳の比率は概ね1:1が目安ですが、お好みに合わせて調整するとよいでしょう。
※いれ方の一例などに関してはこちらをご覧ください。2種類ある?ロイヤルミルクティーともう一方の違いとティーバッグでのいれ方
チャイ Chai(砂糖入り煮出し)
インドで親しまれている「チャイ」は、お砂糖入りの甘く濃厚な煮出しミルクティーで、スパイス入りは「マサラチャイ」と呼ばれます(スパイスなしもチャイです)。
細かい渋みのある茶葉を使っておいしく飲むために、ミルクと砂糖を加えるスタイルが定着しチャイが誕生したそうです。
※いれ方などに関してはこちらをご覧ください。スパイス香るインドのミルクティー「チャイ」おうちで簡単5工程
違いは?ロイヤルミルクティーとチャイ
どちらも鍋で煮出しミルクティーですが、以下の違いがあります。
- 砂糖の使用:ロイヤルミルクティーは甘みを加えるかどうかは自由だが、チャイは甘く仕上げるのが一般的
- スパイスの有無:チャイにはスパイス入りもあるが、ロイヤルミルクティーには加えない
ティーラテ Tea Latte(高圧抽出にスチームミルク)
「ティーラテ」は、ティープレッソ(茶葉から高圧で抽出し濃縮された紅茶液)にスチームミルクを加えたアレンジティーで、「紅茶ラテ」とも呼ばれます(作り方はエスプレッソベースのカフェラテと同様です)。
紅茶を濃い目に抽出し、ミルクフォーマーなどで泡立てたミルクを乗せることで、ご家庭でも楽しむことができます。
※いれ方などに関してはこちらをご覧ください。ティーラテとは?ミルクティーとの違いやおうちでの作り方も
キャンブリックティー Cambric Tea(はちみつ加える)
「キャンブリックティー」は、ミルクティーにはちみつを加えたアレンジティーです。
はちみつを入れることで紅茶の色が変化し、それに由来して「亜麻(あま/キャンブリック)色の紅茶」と名づけられたそうです。これは、淡い褐色に黄色みのある色とされています。
はちみつの甘みとコクを活かした、やさしい味わいのミルクティーです。
キリテー Kiri They(全脂粉乳/コンデンスミルク・容器2つ使用)
スリランカで親しまれている「キリテー」は、乳固形成分95%の全脂粉乳(粉ミルク)を使用し、2つの容器に何度も移し替えて泡立てるのが特徴です。シンハラ語でキリはミルク、テーは茶を意味します。
濃厚でありながら重たく感じないヒミツは、複数回2つの容器に注ぎ替えて空気をたっぷり含ませるためで、泡立ったキリテーはマイルドな口当たりになります。
また、コンデンスミルクや脂肪分の高い牛乳を用いる地域もあるそうです。
用意するものといれ方
用意するもの
- 茶葉 6g(ティーバッグなら2個)
- 熱湯 300ml+少量(ミルクや砂糖を溶かす分)
- 全脂粉乳(粉ミルクまたはコンデンスミルク) 大さじ2~3
-
砂糖(きび糖などお好みのもの) 適量
- 500~600ml位の大き目の容器(ステンレスボトルなど) 2つ
作り方(2杯分)
- 茶葉もしくはティーバッグで濃い目に紅茶を抽出する
- 大きめの容器(ステンレスボトルなど)の一方に砂糖と粉ミルク類を入れて、少量のお湯で溶かす
- もう一方の容器に濃い紅茶液を入れた後、高い位置からミルク類の入った容器の方へ注ぐ
- さらに空になった容器の方へ高い位置から注ぎ、数回2つの容器に入れ替えて空気を含ませながら混ぜ合わせて泡立てる(※こぼれないよう注意を)
- カップに注いで完成
香港式ミルクティー(エバミルク使用)
牛乳の代わりに保存のきくエバミルク(無糖の練乳)を使ったミルクティーは、香港などで定番だそうです。
作り方は、紅茶をいれカップに注いだ後、エバミルクをお好みの量加えるだけで完成です(砂糖もお好みで加えます)。
スーテーツァイ(塩入り)
「スーテーツァイ」は、モンゴルの伝統的な塩入りミルクティーで「ツァイ」とも呼ばれます。
家庭ごとにミルクや塩の量が異なり、スープのようにして他の食材を浸しながらいただくことも多く、おもてなしで揚げパンのようなものと一緒に供されたことがあります。塩入り?と聞くとどうなるのかと思うかもしれませんが、塩もミルクの分量もお好みで調整できますし、しょっぱさよりもミルクが引き締まる感じの印象です。
現地ではミルクは牛乳以外に、ラクダや羊、馬の乳を使うこともあり、バターを加えるなどアレンジもさまざまです。
伝統的には黒茶(プーアル茶などの発酵茶)をレンガのようにまとめた団茶(たんちゃ)を削って使用しますが、紅茶でも代用できます。
作り方も簡単で、鍋で茶葉を煮出した後、火を止めて塩を一つまみと牛乳を適量(50mlほど)加え.再び弱火で沸かし、茶こしで濾しながらカップに注ぐだけで完成です。
バター茶(バターと塩入り)
「バター茶」は、その名の通りバターを加えたミルクティーで、ブータンなど中央アジア地域で広く飲まれています。また、麦こがしをバター茶に混ぜて練ったり、そのまま口に含んで飲むことも多いようです。国内のアジアンフェスティバルで飲んだ時の印象は、ミルクとバターが合うためか塩味のためかスープのように感じました。
一般的には、「ギー」と呼ばれるヤクの乳から作られたバターと茶葉には黒茶が使われますが、紅茶で代用することも可能です。
作り方は、鍋で茶葉を煮出した後、火を止めて塩を一つまみ・バターおよび牛乳を適量(50mlほど)加え.再び弱火で沸かし、茶こしで濾しながらカップに注ぐだけで完成です。
タイティー Thai Tea(コンデンスミルク使用)
「タイティー」はタイ式ミルクティーを指し、チャータイ/チャーイェンと呼ばれています。茶葉には「バイミャン」というオレンジ色に抽出される特別な黒茶を使用し、コンデンスミルク(練乳)を入れるのが特徴です。
アイスでいただくのが一般的で、作り方は、カップや耐熱グラスでタイティーのティーバッグもしくは茶葉で濃く抽出した後、温かいうち同量のコンデンスミルクと特濃牛乳(20~30mlほど)を入れた容器に茶こしで濾しながら注いで溶かし、氷をいれて冷やせば完成です。
その他のアレンジアイデア
茶葉をフレーバー付きのものに変えたり、ミルクや甘味を変えたり、フルーツやスパイス・食材などをちょい足しすることで、まだまだオリジナルアレンジができます。以下はほんの一例です。
・ミルクを変える 豆乳ミルクティー、アーモンドミルクティー、ココナッツミルクティー
・フルーツ系を加える レモンも皮を使えばミルクの凝固や分離なくレモンミルクティー、まざまなフルーツのピュレやシロップ、ソースなども
・甘味を変える 黒糖や甘酒など
・スパイスやドライハーブを加える カルダモンを加えて作る地域も、ドライローズやラベンダーをトッピングして華やかに
・食材を加える もはや定番タピオカミルクティー、マシュマロをカップに入れミルクティーを注ぐだけのマシュマロミルクティー、アイスクリーム、ココアやチョコレートソース、キャラメルソース、砕いたクッキー&クリームをトッピング
まとめ
何か気になるものはありましたでしょうか?
- 世界には様々なミルクティーがあり、それぞれ材料や作り方が異なる
- ティーウィズミルクは抽出した紅茶にミルクを入れる
- ロイヤルミルクティーは鍋で煮出して作る
- チャイは砂糖を加え煮出して作り、スパイス入りはマサラチャイ
- キャンブリックティーははちみつ入りミルクティー
- スリランカのキリテーは全脂粉乳やコンデンスミルクを使い、2つの容器を移し替えて泡立てながら混ぜて作る
- 香港式ミルクティーはエバミルクを使う
- 主にモンゴルで飲まれるスーテーツァイは塩入りミルクティー
- バター茶は塩バター入りミルクティーでブータンなど中央アジアで広く飲まれる
- タイティーはコンデンスミルクと特濃ミルクを使ったタイのミルクティー、主にアイスで飲む
他にもフレーバー付きの茶葉やミルク・甘味を変えたり、フルーツやスパイス・食材などをちょい足しすることでオリジナルにアレンジ可能です。
ミルクティーの世界を広げて、特別な一杯を楽しんでいきませんか。